先日、こんなツイートを見てハッとしました。
決算書を簡単に読む方法とか、JALとANAの決算書を読んでみたとかブログに書きましたが、実際に何のために決算書を読むのかという視点が抜けていたように思います。
そして、何のために決算書を読むのかという話は、誰が決算書を読むのかという話と同じなんですね。
今回は、まず決算書の利用者は誰なのかという話から考えていきたいと思います。
決算書を誰が読むのか。
決算書の利用者は誰か、という話です。誰が決算書を見て、そこから何を知りたいのか。
ここから始めていきましょう。
会社の株主が知りたいこと。
まずは「会社は誰のもの?」という議論に必ず出てくる株主です。
株主は、会社からの配当(インカムゲイン)や出資額より高値で売ることで利ザヤを稼ぐ(キャピタルゲイン)を得るために出資をします。
そして、会社の経営者は出資を受けた資金で事業を展開し、その出資金を増やすことをミッションとします。
つまり株主からすれば、この会社に出資すれば儲かるのか、またちゃんと回収できるのか、が大事になるわけなんですね。
そして経営者には株主に対して出資を受けた資金がどうなったのか説明する責任を負うことになります。
ここで登場するのが決算書です。
経営者は、事業を展開した結果としてどうなったのかについての説明責任を、決算書を作成・開示することで果たすのです。
ちなみに会計のことを英語で「Accounting」と言いますが、説明責任「Accountability」と語源が同じなのも、会計と説明責任は切っても切れない関係だったことに由来します。
まとめると、株主にとっての決算書を読む目的は、出資した資金がどうなったか、極論すると儲かったのかどうか、となるわけです。
これから出資しようとする投資家が知りたいこと。
「ここの株を買おうか買おまいか」
これにつきます。投資するかどうかの意思決定のために決算書を使います。
今の株価が高いのか安いのか、はたまたこれから上がるのか下がるのか。
そのあたりを調べるために決算書を利用します。
余談ですが、こういった株主や投資家から出資として資金を調達することを直接金融と言います。
銀行や取引先などの債権者が知りたいこと。
債権者が決算書を利用する目的は一つです。
「貸した金が返ってくるか。」
これにつきます。ですので、決算書の見方もおのずと回収可能性をどのように評価するかといった見方になってきます。
ちなみにお金を借入によって調達することを、直接金融に対して間接金融と言います。
経営者が知りたいこと。
ここまでは利害関係者という位置づけでしたが、最後に会社の経営者が決算書から知りたいことについてです。
実は経営者が決算書を利用する目的は二つあります。
一つは株主等への説明責任との裏返しで、経営成績及び財政状態について説明するために決算書を使います。
二つ目に、こちらの方が大事かもしれませんが、経営の意思決定に使うためです。一般的に管理会計の領域と言われます。
ちなみに、日本の会計ルールの根幹である「企業会計原則」の第1条にはこのように書かれています。
第一 一般原則
一 企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。
企業会計原則より抜粋
このように書かれています。
ここで、これは誰が誰にという問題が出てきます。ポイントは「真実な報告を提供」することであるから、経営者が利害関係者に対して、ということになります。これが一つ目の目的です。
この企業会計原則が制定されたのが昭和24年のことです。
そしてそれから63年後の2012年2月に「中小企業の会計に関する基本要領」が公表されました。
ここから、2つ目の目的について書いていきます。
これも会計ルールなのですが、対象が中小企業に限られるのですが、その目的に大きな特徴があります。
Ⅰ.総論
1.目的
・中小企業の経営者が活用しようと思えるよう、理解しやすく、自社の経営状況の把握に役立つ会計
中小企業の会計に関する基本要領から抜粋
従来会計の目的は、上述した通り情報提供に重きが置かれていたのですが、今回初めて「経営に役立つ会計」ということが書かれています。これは大きな変化だと思います。
ここからは想像ですが、情報提供機能としての会計は利害関係者も多いため制度化することでその信頼性を担保する必要があるのですが、経営管理に使うかどうかは好きにしてというスタンスだったのだと思います。
ところが、中小企業においては全然会計が浸透していないことを問題視してこういった基準が出てきたのでしょうね。
と、いうわけで経営者が会計を使う目的は、事業の状況を適時適切に把握し次の施策を決めるため、そのために会計を活用しましょうという話が出てきたのが昨今の状況です。
まとめ
決算書の利用者はいろいろいるよ、という話を書いてみました。
またこの続きは、それぞれどのように決算書を見るのか(想像)をまとめたりしてみようと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。